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私はトランジスタ技術誌1999年7月号特集「インターネット時代のハード制御」に触発され、KL5C16030開発セットのYK30-1CとNE2000互換ネットワークカードを組み合わせたボードにTCP/IPプロトコルスタックを実装しようとしたのですが、プロトコルのスケジューリングがうまくいかなく、挫折してしまいました。そこでそのスケジューリングを解決するため、μITRONを実装することを思いつきました。μITRONについては何年も前から仕様書とか雑誌記事とかを読んでいていつか自分の手で実装したいと思っていたのです。そして一月半の苦闘の末、ほとんど最小構成ではありますがそれに成功しました。ここでは、μITRONの実装を通して得られた知識やテクニックなどを皆さんに披露いたします。
まずはμITRONのことを簡単に解説しておきましょう。μITRONは「まいくろあいとろん」と読み、一連のリアルタイム・マルチタスクOSの仕様のことをいいます。いわゆる「TRONプロジェクト」の一成果で、あらゆる機器に組み込まれるマイコンに搭載するために作られたOSです。日本国内では標準的な地位にあって、有名どころではカシオのデジタルカメラとか、東京ガスのガスメーターとか、ローランドの電子楽器とか、最近ではトヨタの一部(将来的には全て)の車に採用されています。リアルタイムOSとしてはVRTXとか、pSOSとか、VxWorksとか、OS-9とかいったものが有名でITRONの名前はあまり聞かないかもしれませんが、ITRONそのものは仕様書が公開されるだけでITRONという名前の製品があるわけでなく、また各メーカーが自前で作ったITRONが製品にも組み込まれることが多いため、実際のシェアとしては4割から7割、5億コピーが出荷されているという報告もあるほどデファクトスタンダードと なっている実態があるのです(コスト削減を目的としてITRONを採用することも考えられますから、報告されてないものも多数あると思われます)。そして、その仕様は無料で公開されています。仕様に則ったOSを誰が作っても構いませんし、それを売ってもかまいません。
2000年度にはイエローソフト殿もμITRONの開発を始めるとのこと。YCシリーズのユーザーにも身近なものになってくるのではないでしょうか。 |